エンカウントも実力のうち! 3


「弟…ああ、ライジングカウンターの」
「裕太ね。名前覚えてあげてよ」

取り留めのない会話をしているうちに時間は過ぎ、二人は並んで店を出た。
不二の予定時間にもちょうど良く、思わぬ出会いとほのぼの会話に軽く感謝を添えて別れる間際、

「不二先輩っていつもよくわかんないけど、今日はやっぱまた違うね」

越前の予想外な感想が飛んできた。

「えーと、もう少し分かりやすく言ってくれると助かるな」

さすがに一瞬止まってしまい、笑顔のまま困ったように尋ねてみる。

「最初は私服のせいかと思ってたんだけどさ、雰囲気?いつも柔らかいけど今日は違う柔らかさってヤツ。弟さんのせい?」
「ああ…うん、そうだね。それもあるし、今日はいい休日みたいだから」

越前とも会えたし?ふふっと笑う様子に何ソレ、と眉を寄せてくる後輩が可愛い。
今度こそまたね、手を振りかけて聞こえてくる言葉に二人は振り向いた。

「だから、もっと現実的な案を出せといっているんだ」
「俺様が言えばなんでも現実になるんだよ」
「…話にならんな」
「んだとっテメ!」

よく通る声が二人分、しかも聞き覚えのある声だったものだから反応するのは仕方のないことである。 が、その光景を見て振り向かなきゃ良かったと少しばかり思ってしまう越前と不二を誰が責められようか。 外見的にとても目立つ長身の男二人が、聞こえる限り低レベルな言い争いをしていたのだから。

「部長」
「跡部」

呆れたような声が重なる。

『何やってんの』

越前と不二のツッコミがハモった。

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