芽吹いて、咲いて、在るところ 3
戯れに胸元へ飾りつけた白い薔薇は、どうやら一日お供をしていたようで。 別行動をする総司の耳に、花を伴って職務をこなす土方の噂が届く。 そして、出迎えた夕方でも変わらずそこに在るのをじっと見つめた。 「妬いちゃいそうです」 口の端を緩めた宣言に答えず土方は上着を脱いで、薔薇を飾った形で衣紋掛けへ。 「そんなに気に入りました?」 白に白であるにもかかわらず映えた生花はそろそろ元気がない、明日を待たず萎れるだろう。 ほんの僅か、土方から離れた意識。距離を詰めた相手の指がが顎を掬う。 「花に出来ないことをやるんだろう」 細められる群青は、深い。 「もう、」 抗議未満の呟きは口付けに吸い込まれて、温かい唇を堪能してから継いだ。 「ずるいことばっかり言うんだから」 腰を抱く腕に力が入る。 |