結論


自分に対するかの人の態度及び印象を伝えた時、異様なざわめきが広がったのは記憶に遠くない。
他から伝え聞く話はそりゃあなかなかに興味深いものであったけれど、己が感じたものも真実だから致し方ない。

「紳士、ですよ」

繰り返し言葉を落とせば、本人の顔がぱあっと輝いたのち慌ててなんでもないような表情となった。
あからさますぎる態度である。これがもっと度合いが大きかったのならば、

――か、勘違いするなよ!嬉しいとか思ってるわけじゃないからな!

だなんてまさにテンプレートと言わんばかりの反応をくれるだろうことまで考えて、胸中でこっそりと笑う。
当初は面倒な相手と思い、それは今も変わらないが微笑ましく見守るくらいの余裕はある。
お茶を濁して本音を包んでのらりくらりとかわしていく自分の性質だって突き詰められれば反論も難しいのだから。
乱暴なくせに礼儀を重んじる。ともすれば相反する要素を兼ね備えているのも珍しい。
そして、そんな相手に淹れてもらう紅茶はとかく格別で、談笑する時間は大切なものとなっている。

まあ、つまりはそういうことなのだ。



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