共通点はそこに

「退きませんよ!絶対に!退くもんか!」

「譲れねぇもんってのがあるんだよ、俺にもな」

「もう決めたんだからね、反論は却下!」

窮地の局面で頼もしく時には心配させてくれた思い出が脳裏に蘇る。
幼少の頃からの付き合いだという三人組は妙なところで似たもの同士だった。

「あー、ったく…あの頑固幼なじみ組はよー…」

仲間の一人が溜息をつきたくなるのも道理。



知らぬは本人ばかりなり

大ニュース!と言わんばかりに飛び込んできた望美の用件は頭を抱えたくなるものだった。

「譲くん、好きな人いるんだって!将臣くん知ってた?」
「…まあ、そりゃ十年以上見てりゃな」

そうでなくとも分かるが、と言わずにおいたのはせめてもの兄心。

「聞き出そうとしても駄目だぞ、俺だって弟は可愛いからな」

意味が分からないって顔をされたってどうしようもない。



3すくみ

「仕方のない人だな、今回限りですからね」

「むー。しょうがないなぁ、どうせいつものことだもんね」

「ホント、マジで悪い!悪いと思ってるって。だから頼むぜ、ってオイ!聞いてくれよ!」

敵わない相手がそれぞれ違う一例。



不平等選手権

「だってお前、最終的に望美につくじゃねぇか。多数決にする意味がねーよ」

「年上をたてにするなんて、ちょっと、二人揃って大人気ないですよ。聞いてるんですか」

「えぇーー!!そんなの私に不利じゃない!駄目、駄目、絶対反対。もうっどうしてそうなるのっ」

必ず誰かが不利になるのが奇数の宿命。



仲間はずれは寂しい

兄弟っていいな。だって私は一人っ子だから。
なんだか二人にしかわからないこととかあるみたい。信頼してるのよく分かるの。
たまに、ちょっとだけ淋しくなる。兄弟っていいな。

幼なじみとひとくくりにするけれど、一年の差というのはとても大きい。
どんなにあがいても追い付けない、絶対的な距離。居場所が見えない。
どの位置に立てばいいんですか?

ふいに気付けば二人で笑ってる。聞いてもまともな答えは返らない。
だって 譲くんが。だって 先輩が。
俺に分かる説明してくれよ、頼むから。


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