精一杯の努力 それは口癖なのか。 そう問われたらいくばくか考えはするものの肯定することしかできないだろう。 癖というものは本人が認識していないからこそ気付きにくいものなのだから。 しかし生真面目な人間というのは時として損をする。 咎められた訳でもないのに、だとしたら失くすとまではいかなくても善処しよう、などと考えてしまうのだった。 善処も何も悪いとは誰も言ってはいないのだが。 するな、ではあまり変わっていないから意味がない。 気を引き締めて、というのはなんだか語呂が悪い。 ぐるぐるとたっぷり数十分は考え込んだ手塚は声をかける段になってふと思いついたまま口にした。 「よし、皆……気をつけろ!」 何に。 みんなの心が一つになった。 |