独占欲 ※タワレココラボネタ
楽屋に引き上げてしばらく。興奮冷めやらぬまま言葉を交わしたのち、桂がふと総司へ問い掛けた。 「そういえば、沖田くんTシャツのままでしたね」 「脱げない」 「はい?」 「土方さんのせいで脱げない」 不機嫌な声に落ちる沈黙。 ちょうどさっき龍馬がテラーダへ向かうと出て行ったのもあって、雑談が止まれば完全に静かだ。 桂の視線が土方に向いた。気まずげに口を噤む相手を確かめて再度、総司を見る。 「ていうか見えないとこが一番ひどいから!袴はだいたい脱がないからって内股とか濃さが違うんだよね! 噛まないとか言うけど内出血は立派なキズなんじゃないですかぁー??」 「沖田くん、土方さんのライフがもうゼロです」 雷舞後のテンションもあってあけすけに語る総司へ桂のストップが掛かった。 土方は壁際で腕を組み、甘んじて罵倒を受けていたが、やがて意を決したよう告げる。 「いや、これは総司の身体に欲望を抑えきれなかった俺の罪だ」 それまで無反応を貫いていた高杉が水を盛大に噴き出した。 自分のタオルのみで被害を抑えた律儀さを発揮しながら声張り上げる。 「その話題、オレ様は聞かねぇからな?!」 もう我慢できるか、とばかり出て行く高すぎへ桂が続く。 「あっ、待ってください晋作。タイミング的には手遅れでしたよ」 「桂さん!」 幼馴染へ刺されるトドメが聞こえて、扉は閉じる。 途端、静かになった部屋で総司が足取り軽く距離を詰めた。 「んもう、土方さんったら」 突然の懺悔という名の惚気に怒りが飛んでいってしまった。 まだ自己嫌悪で唸りそうな土方の晒された胸元へ肩を寄せ、すりつく。 伸びてきた手が少しだけ迷ったよう頭に触れ、柔らかく撫でる。 気持ちが良くて瞼を閉じ、そのままでいると案じる声。 「辛くはないか」 「そんなやわじゃないの知ってるでしょ」 瞑ったまま答えれば、そうか、の返答。 なんだかおかしくなって笑いが零れた。 離れていく掌に物足りない気持ちでゆっくり視界を開く。 身体を寄せたまま、胸元へ這わせるのは利き手の指。 「土方さんだって簡単に見せすぎ、僕怒ってるんですよ」 指先から掌までぺたりと触れ、甘えた声で上目遣いに唇を尖らせる。 しっとりした肌へ凭れかかれば土方が顎を掬い上げて囁く。 「汗ばんで睦み合うのはお前だけだろう」 |