思わぬ角度 向かい合ってベッドで正座。どう考えてもシュールな光景でしかない。 絵に描いたような機嫌の悪さでたっぷり睨み付けたのは、自分。 「お前、マジ、察しろ」 「…すいません」 「謝んな、空気読め」 「すいません」 謝罪を繰り返す倉間は心底居心地が悪そうで、 こんなことで説教を食らわせる羽目になった自分がもっとやりきれないと胸中で毒づく。 なんで正座してるんだと今更思い、足を崩し片膝を立てる。 言葉の途切れた空間は取っ掛かりが難しい。 膝に手を置いたままの倉間が俯き加減だった視線を上げてこちらを見据えた。 「つーか、そもそも南沢さんが直球で言えばよかったんじゃないすか」 「は…?」 「俺、断りませんけど」 頭にやっていた手がぐしゃりと髪を掴む。痛い。 「……倉間」 「いいですよ」 聞き間違いかと言葉の意味を確かめかけて呼んだ名前は、目を逸らすことのない答えがしっかり受け止めた。 「ほんと、ねーわお前」 布団へ潜り込んで肩を並べる。気だるさの残る雰囲気は甘いと見せかけて文句から始まった。 「じゃあ、もうしませんか」 「それは断る」 「なんなんすか」 負担がそこそこどころじゃなくあったくせに元気に返すのが嬉しいような、いやこの場合は嬉しくない。 「ありえねーのはやるまでのお前だよ、やってる最中は別だっての」 「今の発言って問題なくないですか」 「ふざけんなどんだけ生き地獄だったと」 「そんなにしたかったんですか」 「淡々と返すのやめろマジで」 会話が進むたびに遣る瀬無い気持ちが湧き起こる。両思いのはずだ、どう考えても両思いのはずだ。 突っ込みが詰問に聞こえてきたのはきっと勘違いじゃない。何故、そう聞く、というか聞ける。 もはや頭痛がしてくる気配がしていた矢先、ちょいちょいと肩をつつかれた。 「俺は、嬉しかったですよ」 照れくさそうに笑う、顔。 全てが一瞬でひっくり返り、枕へ思わず突っ伏した。 「南沢さん?」 呼ぶ声が近いようで遠い。本当に、やってられない。 |