眠い


帰るなりソファヘ倒れ込む。限界だ限界だとは思っていたがここまでくるとさすがに夜更かしを後悔はする。
すぐさま眠りに落ち、うっすら意識が浮上した頃には夕方だった窓の外は暗くなっていた。
しかしまだ眠い、移動して寝なおしたほうがいいのもわかってはいるがどうにも面倒くさい。

「倉間?」

いつの間に帰宅したのか、単に玄関から居間に辿り着いたタイミングで自分が目覚めたのか、
とにかく呼ぶ声に答えねばならない。

「眠いだけです」

近づいてくる足音、床に膝をついただろう相手。最初の声からして心配が滲んでいたあたり過保護すぎると思う。
閉じている瞼の上に腕を置いて、取り合いませんアピールをひとつ。

「ねむいだけですって」

本当に?だの言い出しかねないのを遮る先手でもう一言。
ぐ、と詰まったような息が聞こえて、悪いことをした気分になる。
渋々視界を開いてみると、寂しげな視線とかち合った。溜め息が出る。

「あーめんどくせえよアンタ」

腕を無理くり掴んで引き、胸の辺りへ凭れこませた。
だいぶ中途半端な姿勢ではあるが、この際文句は受け付けない。
頭と背中あたりをぎゅっと抱える。硬直していたらしい相手が擦り寄ったので満足してまた目を閉じた。


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