無碍


ゲームやってる時に抱き付かれた、場合。
RPGやシミュレーションならまあ放置、アクションなら邪魔すんなって言うだけ言う。まあ大抵がこっちが構うまでそのままなんで、思い動きにくいハンデが付加されることになる。
今日も今日とてゆっくりと凭れてきたかと認識する間に腕が回り、見事抱え込まれてしまった。コントローラーが無線で良かったと心底思う。こればかりは技術の進歩に感謝しかない。とりあえずセーブ地点まで辿り着き、データ保存。ほどなく明滅するランプと画面の文字。ひっついて動かない相手に声を掛ける。

「充電切れたんで離してもらえます?」

さすがに接続コードは手を伸ばしただけじゃ届かない位置だ。絡む腕を剥がすようにして床を這い、線を掴むと身体を戻す。ゲーム機本体とコントローラを繋ぎ、確認してから肩越しに振り返る。
剥がされた南沢さんが若干むーっとした様子でこちらを見ていた。おー、拗ねてる拗ねてる。
なんだか面白くなったきたので、自分から腕を伸ばして抱き付いてやった。

「はい、次こっち充電」

ちゅっ、と音を立ておまけの大サービスで。


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